文字式の計算(分数のたし算・ひき算)
通分(分母をそろえること)・符号の変え方・分数でない項・約分(分子と分母を同じ数で割ること)の手順を、計算機と練習問題で確かめます。最後に、都立高校入試でどう出るかを正答率つきで載せています。
やり方
分母をそろえて、 分子は「かっこごと」計算する
4 分の 3a − b − 6 分の a − 5b = 12 分の 3(3a − b) − 2(a − 5b) = 12 分の 7a + 7b
青 掛ける数橙 符号が変わる項緑 答え
ひく側のかっこを外すときは、中の符号を全部変えます。式の計算では、分母は最後まで残します(方程式のように、両辺に同じ数を掛けて分母を消す「分母を払う」ことはできません)。
説明を読む前に、まず 1 問
2 分の a + 3 分の a を計算すると?
分数の文字式の計算機(途中の式つき)
宿題の答え合わせに使えます。係数と分母を入れると、5 つの手順を順に出します。答えが合わなかったときは、下に出る「よくある間違いの答え」と見比べると、どこでつまずいたかが分かります。
枠には a や b の前の数(係数)を入れます。引き算の項はマイナスの数で(3a − b なら 3 と −1)、文字がない所は 0 を入れます。分数でない項(a − 2b など)は、分母に 1 を入れます。
答え 12 分の 7a + 7b
青 掛ける数橙 符号が変わる項緑 答え
- 1
分母をそろえる(通分)
4 と 6 の最小公倍数(どちらでも割り切れる、いちばん小さい数)は 12。分母を 12 にそろえます。
- 2
分子に、分母に掛けたのと同じ数を掛ける
12 分の 3(3a − b) − 2(a − 5b)分子は、かっこを付けたまま書きます。
- 3
かっこを外す(かっこの前の数を、中のすべての項に掛ける)
12 分の 9a − 3b − 2a + 10b色の付いた項は、ひく側のかっこを外して符号が変わったところです。
- 4
同じ文字の項どうしをまとめる
12 分の 7a + 7b - 5
約分できるか確かめる(分子と分母を同じ数で割る)
分子のすべての項と分母を、同時に割れる数はありません。これが答えです。
答え12 分の 7a + 7b
自分の答えが、下のどれかになっていませんか
よくある間違いをすると、この式ではこの答えになります。同じなら、その手順を見直してください。
- 7a + 7b分母を消してしまった(方程式と同じように分母を払った)
- 12 分の 7a + 4b分子の最初の項にしか、通分の数を掛けなかった
- 12 分の 7a − 13bひく側の 2 つ目の項の符号を変えなかった
手順を 1 つずつ
青 掛ける数橙 符号が変わる項緑 答え
- 1
分母をそろえる
4 分の 3a − b − 6 分の a − 5b
4 と 6 の最小公倍数(どちらでも割り切れる、いちばん小さい数)は 12。分母を 12 にします。
- 2
分子に、分母に掛けたのと同じ数を掛ける
12 分の 3(3a − b) − 2(a − 5b)
分母 4 には 3 を、分母 6 には 2 を掛けたので、分子にも同じ数を掛けます。分子はかっこを付けたまま書きます。
- 3
かっこを外す(ひく側は符号を全部変える)
12 分の 9a − 3b − 2a + 10b
かっこの前の数を、中のすべての項に掛けます(分配法則)。−2(a − 5b) は −2a + 10b。かっこの前の − も、中のすべての項に掛かります。
- 4
同じ文字の項どうしをまとめる
12 分の 7a + 7b
a の項は 9a − 2a = 7a、b の項は −3b + 10b = 7b。
- 5
約分できるか確かめる
12 分の 7a + 7b
約分は、分子のすべての項と分母を同じ数で割ること。7・7・12 を同時に割れる数はないので、これが答えです。
分母を払っていいのは、方程式だけ
見た目は似ていても、= があるかどうかで、やってよいことが変わります。
式の計算(= がない)
2 分の a + 3 分の a = 6 分の 5a
分母は残す。6 倍すると、もとの式とは別の値(5a)になってしまいます。
方程式(= がある)
2 分の x + 3 分の x = 5
分母を払ってよい。両辺を 6 倍して 3x + 2x = 30。両辺に同じ数を掛けても、= は成り立ったままです。
分数でない項がまざるとき
分数でない項は、分母が 1 の分数と考えます。分母をそろえるときに、分母の数を掛けるのを忘れないようにします。
4 分の 5a − b − a + b
= 4 分の 5a − b + 4 分の −4a + 4b
= 4 分の 5a − b − 4a + 4b
= 4 分の a + 3b
− a と + b は、符号はそのままで分母の 4 を掛けます。かっこが無いので、符号は変わりません。都立入試では 2024・2025 年度がこの形でした。
よくある間違い 4 つ
1分母を払ってしまう
方程式と同じように 12 倍して分母を消す(分母を払う)と、答えが 12 倍になります。分母を払えるのは = のある方程式だけです。
2分子の最初の項にしか掛けない
3(3a − b) を 9a − b としてしまう間違い。分母に掛けた数は、分子のすべての項に掛けます。
3ひく側の 2 つ目の項の符号を変えない
−2(a − 5b) を −2a − 10b としてしまう間違い。いちばん多い間違いです。分子にかっこを付けて書くと防げます。
4約分で、一部の項だけを割る
6 分の 2a + 4b の 2a だけを 2 で割って 3 分の a + 4b にする間違い。約分は、分子のすべての項と分母を同じ数で割ります。
練習問題 5 問
1 問ずつ出します。選ぶとその場で丸付けし、間違えたときはその答えになった理由を出します。
0 / 5 正解
問 1 / 5・基本・分数なし
3(2a − b) − (a − 4b) を計算しなさい。
この型の類題を解く(同じ型の類題をもう 5 問)
都立高校入試ではこう出る
大問 1 の問 2 は、2019〜2026 年度の 8 年すべてで文字式の計算でした。2019・2020 年度は分数のない式、2021 年度からは分数の入った式です。
分数のない年(2 年)
93.5〜93.8%
分数の入った年(6 年)
26.9〜77.3%
同じ「文字式の計算」でも、通分が入るだけで正答率の範囲が重なりません。ただし、分数のない年は2 年分しかないので、年が増えれば数字は動きます。
- 2026問 2分数 − 分数(片方の分母がもう片方の倍数)73.9%
- 2025問 2分数のあとに、分数でない項が続く26.9%
- 2024問 2分数でない項から、分数を引く68.1%
- 2023問 2分数 − 分数(最小公倍数は分母の積)77.3%
- 2022問 2分数 − 分数(片方の分母がもう片方の倍数)70.7%
- 2021問 2分数 − 分数(片方の分母がもう片方の倍数)62.0%
- 2020問 2分数なし(かっこを外してまとめる)93.8%
- 2019問 2分数なし(かっこを外してまとめる)93.5%
配点は 5 点。右の数字と棒は正答率で、東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査 報告書」(抽出調査)。型はこのサイトが問題を読んで分けたものです。
よくある質問
分数の文字式の計算のやり方は?
①分母の最小公倍数で分母をそろえる ②分子に、分母に掛けたのと同じ数を掛ける(分子はかっこごと)③かっこを外す(ひく側は符号を全部変える)④同じ文字の項どうしをまとめる ⑤約分できるか確かめる、の 5 手順です。
分母を払ってはいけないのはなぜ?
分母を払えるのは、= のある方程式だけです。方程式は両辺に同じ数を掛けても成り立ちますが、式の計算には = の相手がいないので、6 倍すると別の式になってしまいます。(a + b)/6 と a + b は違う値です。
ひき算で符号を変えるのはどこまで?
ひく側の分子のすべての項です。−(a − 3b) は −a + 3b。最初の項だけ変えて、2 つ目以降をそのままにする間違いがいちばん多いです。分子にかっこを付けて書くと防げます。
分数でない項がまざっていたら?
分母が 1 の分数と考えて、ほかの分数と分母をそろえます。分母を 4 にそろえるなら、a は 4a/4 になります。都立入試では 2024・2025 年度がこの形でした。
最小公倍数の見つけ方は?
大きいほうの分母の倍数を、小さい順に並べます(6 と 4 なら 6、12、…)。小さいほうの分母で割り切れる最初の数が、最小公倍数です。分母どうしを掛けても計算はできますが、数が大きくなって約分が増えます。
答えは (a + 5b)/3 と a/3 + 5b/3 のどちらで書く?
同じ値ですが、教科書や入試の解答は 1 つの分数にまとめた (a + 5b)/3 の形で書くのがふつうです。約分できるときは、分子のすべての項と分母を同じ数で割ります。
何年生で習いますか?
文字式そのものは中学 1 年、分数をふくむ文字式のたし算・ひき算は中学 2 年の「式の計算」で習います。
都立高校の入試には出ますか?
2019〜2026 年度の 8 年すべてで、大問 1 の問 2 に出ています。2019・2020 年度は分数のない式、2021 年度からは分数の入った式です。