円錐の展開図(中心角・側面積・表面積)
展開図の形、中心角の求め方、側面積と表面積を、動く図と計算機で確かめます。中心角から底面の半径を逆に出す問題や、ひもを巻いた最短の長さまで扱います。
公式
円錐の展開図は、側面のおうぎ形と、底面の円です。おうぎ形の半径は母線、弧の長さは底面の円周と同じです。
母線は、頂点と底面の円のふちを結ぶ斜めの線分です。高さ(頂点から底面の円の中心へまっすぐ下ろした長さ)とは違います。母線とは
中心角 = 360° × 半径 ÷ 母線
側面積 = π × 母線 × 半径
例: 半径 3 cm・母線 5 cm → 中心角 360° × 3 ÷ 5 = 216°、側面積 π × 5 × 3 = 15π cm²
説明を読む前に、まず 1 問
底面の半径が 2 cm、母線が 6 cm の円錐の展開図で、側面のおうぎ形の中心角は?
母線とは(円錐の斜めの長さ)
母線は、円錐の頂点と、底面の円のふちの点を結ぶ線分です。円錐を真横から見たときの、斜めの辺にあたります。
直角三角形を、直角をはさむ辺の一方(高さ)を軸にして 1 回転させると円錐ができます。このとき斜辺が側面をえがきます。この、側面をえがく線分を「母線」といいます。
1何本でも引けて、どれも同じ長さ
頂点は底面の円の中心の真上にあるので、ふちのどの点まで引いても長さは変わりません。
2高さより長い
高さ・底面の半径・母線で直角三角形ができ、母線はその斜辺です。母線² = 高さ² + 底面の半径²(三平方の定理・中3)。
3展開図ではおうぎ形の半径
側面を開くと、おうぎ形の 2 本の半径が母線になります。底面の半径とは別の長さです。
この母線の長さは 5 cm。どこに引いても同じです。図では向きによって長さが違って見えますが、実際はどれも 5 cm です。
母線は直角三角形の斜めの辺(斜辺)なので、高さより必ず長くなります。三平方の定理(中3)から 母線² = 高さ² + 底面の半径²。この例では 5² = 4² + 3²(25 = 16 + 9)です。
円錐を 1 本の母線に沿って切って開くと、側面はおうぎ形になります。おうぎ形の2 本の半径は、どちらも母線です。底面の半径 3 と取り違えやすいので、図に「母線」と書いてから式を立てます。
展開図の計算機(図と途中の式つき)
宿題の答え合わせに使えます。半径と母線を変えると、展開図がその形に変わります。点線の円は、母線を半径とする円です。おうぎ形がその何分のいくつかを見てください。中心角から底面の半径を出す向きにも切り替えられます。
- 中心角
- 216°
- 弧の長さ
- 6πcm
- 約 18.84
- 側面積
- 15πcm²
- 約 47.1
- 表面積
- 24πcm²
- 約 75.36
- 高さ(参考)
- 4cm
- おうぎ形の半径 = 母線 = 5
- 弧の長さ = 底面の円周 = 2π × 3 = 6π
- 中心角 = 360° × 半径 ÷ 母線 = 360° × 3 ÷ 5 = 216°
- 側面積 = π × 母線 × 半径 = π × 5 × 3 = 15π
- 底面積 = π × 3² = 9π
- 表面積 = 15π + 9π = 24π
約の数は π を 3.14 として計算しています。
なぜ「360° × 半径 ÷ 母線」なのか
母線 12 cm・半径 3 cm の円錐を、頂点 O を中心に床の上で転がします。
展開図を組み立てると、おうぎ形の弧は、底面の円のふちにぴったり重なります。だから弧の長さ = 底面の円周 = 2π × 半径です。
おうぎ形は、母線を半径とする円(周の長さ 2π × 母線)から切り取った一部です。弧が円周の 何分のいくつかは、2π × 半径 ÷(2π × 母線)= 半径 ÷ 母線。中心角も同じ割合なので、360° × 半径 ÷ 母線 になります。
左の図は、円錐を頂点 O を中心に床の上で転がしたところです。1 回転するたびに、側面がちょうど 1 枚ずつ床に写ります。母線 12 cm・半径 3 cm なら 4 回転で 1 周するので、1 枚の中心角は 360° ÷ 4 = 90°。回転数 = 母線 ÷ 半径も、そのまま問題になります。
展開図で使う公式
例は、底面の半径 3 cm・母線 5 cm の円錐です。
| 求めるもの | 式 | 例 |
|---|---|---|
| おうぎ形の半径 | 母線 | 5 |
| 弧の長さ | 底面の円周 = 2π × 半径 | 2π × 3 = 6π |
| 中心角 | 360° × 半径 ÷ 母線 | 360° × 3 ÷ 5 = 216° |
| 側面積 | π × 母線 × 半径 | π × 5 × 3 = 15π |
| 底面積 | π × 半径² | π × 3² = 9π |
| 表面積 | 側面積 + 底面積 | 15π + 9π = 24π |
逆に、中心角と母線から底面の半径を出すときは 半径 = 母線 × 中心角 ÷ 360°。母線 10 cm・中心角 144° なら 10 × 144 ÷ 360 = 4 cm です。
よくある間違い 4 つ
1半径と母線を逆にする
360° × 母線 ÷ 半径 と書くと、答えが 360° を超えます。底面の半径は母線より短いので、中心角は必ず 360° より小さくなります。
2おうぎ形の半径を、底面の半径と思う
展開図のおうぎ形の半径は、母線です。底面の円の半径とは別の長さです。図に「母線」「底面の半径」と書き分けてから式を立てます。
3側面積に高さを使う
側面積は π × 母線 × 半径。高さを使うのは体積です。高さしかないときは、三平方の定理で母線を出してから使います。
4表面積で底面を足し忘れる
表面積は側面積と底面積の和です。「側面積」と「表面積」のどちらを聞かれているかを、問題文で確かめてください。
もっと知りたいとき
中心角の求め方 3 通り(どれも同じ答え)
例は、底面の半径 3 cm・母線 5 cm の円錐です。学校で習った形に合わせて使ってください。
1. 公式に入れる
360° × 3 ÷ 5 = 216°
2. 弧の長さの比で考える
弧の長さ 6π、母線 5 の円の周 10π。中心角 ÷ 360° = 6π ÷ 10π なので、中心角 = 360° × 3/5 = 216°
3. 比例式を立てる
中心角 : 360° = 半径 : 母線 → x : 360 = 3 : 5 → 5x = 1080 → x = 216
ひもを巻いた最短の長さ(展開図で直線にする)
曲がった面の上の最短の道は、展開図にすると直線になります。底面の円周上の点 A から側面をひと回りして A に戻るひもなら、母線 OA で切って開いたおうぎ形の、A と A′ を結ぶ直線です。
母線 6 cm・半径 2 cm なら、中心角 120°。O から AA′ に垂線を下ろすと、30°・60°・90° の直角三角形が 2 つでき、AA′ = 6√3 cm です(練習問題 5 と同じ型)。
円柱・角錐の展開図との違い
円柱: 側面は長方形
横の長さが底面の円周(2π × 半径)、縦が高さ。側面積 = 2π × 半径 × 高さ。底面は 2 つあります。都立入試では 2020 年度の大問 2 で、この展開図が題材になりました。
正四角錐: 側面は合同な二等辺三角形 4 つ
側面積 = 1/2 × 底辺 × 側面の三角形の高さ × 4。三角形の高さは、立体の高さとは別の長さです。
円錐: 側面はおうぎ形 1 つ
底面は 1 つ。組み立てると、弧と底面の円周が重なります。
練習問題 5 問
選ぶとその場で丸付けします。間違えたときは、その答えになった理由を出します。
0 / 5 正解
問 1 / 5・基本・中1
底面の半径が 4 cm、母線が 10 cm の円錐の展開図で、側面のおうぎ形の中心角を求めなさい。
都立高校入試ではこう出る
2019〜2026 年度の 8 年で、円錐の展開図そのものを問う問題は出ていません。ただ、大問 2(文字式の利用)で、展開図や、円・おうぎ形の弧が題材になった年が 3 回あります。式を立てる力そのものは、このページの内容と同じです。
- 2026問 1位の数54.0%問 2倍数の証明34.3%
- 2025問 1円周を等分する点69.6%問 2円周を等分する点の証明20.4%
- 2024問 1図形の平行移動61.1%問 2図形の面積の証明23.9%
- 2023問 1正方形の中点を結んだ周の長さ31.7%問 2おうぎ形の弧と面積の証明21.9%
- 2022問 1位の数52.7%問 2倍数の証明40.5%
- 2021問 1図形の面積(中点を結ぶ)37.8%問 2内接円の面積の証明14.4%
- 2020問 1円柱の展開図と体積62.7%問 22 つの展開図をつないだ円柱の体積の証明26.3%
- 2019問 1正方形を重ねた図形の周の長さ52.8%問 2円を重ねた図形の周の長さ(弧)の証明5.2%
太字が展開図・おうぎ形の弧を使う問い。配点は問 1 が 5 点、問 2 が 7 点(証明・部分点あり。正答率は報告書の値)。右の数字と棒は正答率で、東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査 報告書」(抽出調査)。題材はこのサイトが問題を読んで分けたものです。
2026年度の報告書2025年度の報告書2024年度の報告書2023年度の報告書2022年度の報告書2021年度の報告書2020年度の報告書2019年度の報告書
展開図・おうぎ形が出たときの手順
- 組み立てたとき、どの辺とどの辺(どの弧とどの円周)が重なるかを図に書き込む
- 重なる長さを「=」で結ぶ(円錐なら 弧 = 2π × 底面の半径)
- おうぎ形の弧と面積は、円の何分のいくつかで出す(中心角 ÷ 360°)
- 証明では、π を含んだまま式を整理して、示す形にそろえる
よくある質問
円錐の母線とは何ですか?
母線は、円錐の頂点と、底面の円のふちの点を結ぶ線分です。真横から見たときの斜めの辺にあたります。ふちのどの点まで引いても長さは同じで、展開図ではおうぎ形の半径になります。
母線と高さはどう違いますか?
高さは頂点から底面の円の中心へまっすぐ下ろした長さ、母線は頂点から底面の円のふちまでの斜めの長さです。高さ・底面の半径・母線で直角三角形ができ、母線² = 高さ² + 底面の半径² です(三平方の定理・中3)。高さ 4 cm・半径 3 cm なら母線は 5 cm です。
円錐の展開図の中心角の求め方は?
中心角 = 360° × 底面の半径 ÷ 母線 です。底面の半径 3 cm、母線 5 cm なら、360° × 3 ÷ 5 = 216° です。
なぜ「360° × 半径 ÷ 母線」になるのですか?
組み立てると、おうぎ形の弧が底面の円周にぴったり重なるので、弧の長さ = 2π × 半径 です。おうぎ形は、母線を半径とする円(周 2π × 母線)の一部なので、その割合は 半径 ÷ 母線。中心角も同じ割合で 360° × 半径 ÷ 母線 になります。
円錐の側面積の公式は?
側面積 = π × 母線 × 半径 です。母線を半径とする円の面積 π × 母線² に、割合 半径 ÷ 母線 を掛けると π × 母線 × 半径 になります。中心角を出さなくても求められます。
円錐の表面積の求め方は?
表面積 = 側面積 + 底面積 = π × 母線 × 半径 + π × 半径² です。半径 3 cm、母線 5 cm なら 15π + 9π = 24π cm² です。
展開図の中心角と母線から、底面の半径を出すには?
底面の半径 = 母線 × 中心角 ÷ 360° です。母線 9 cm、中心角 120° なら、9 × 120 ÷ 360 = 3 cm です。
高さしか分からないときは?
頂点・底面の中心・底面のふちで直角三角形ができます。三平方の定理で 母線 = √(半径² + 高さ²) を出してから、中心角や側面積を求めます。
ひもを巻いたときの最短の長さは?
展開図にして、ひもの両端を直線で結んだ長さが最短です。点 A から側面をひと回りして A に戻るなら、展開図の A と A′ を結ぶ弦の長さで、中心角が 120° なら 母線 × √3 になります。
円錐の展開図は何年生で習いますか?
中学 1 年の「空間図形」で、表面積と一緒に習います。母線と高さを行き来する問題や、ひもの最短の長さは、三平方の定理を習う中学 3 年で出てきます。
都立高校の入試には出ますか?
2019〜2026 年度の 8 年では、円錐の展開図そのものを問う問題は出ていません。大問 2(文字式の利用)で、円柱の展開図(2020 年度)や、円・おうぎ形の弧(2019・2023 年度)が題材になっています。